こんにちは、SORAです!
衛生管理者には第一種と第二種があります。
もちろん皆さんはそのことはご存じだと思いますが、では一体何が違うのでしょうか?
その前に、一言で一種と二種といっても、免許の区分け、試験での区分けがあります。
そして、一種と二種があるのですから、分けられている理由、試験については難易度などの違いがあります。
初めて衛生管理者免許試験を受ける人の中には2つの違いについての疑問や、既に受験を検討している人の中には一種と二種のどちらを受験しようと迷っている人がいらっしゃると思います。
この記事では衛生管理者の第一種と第二種の違いについてご説明します。
この記事はこんな人におすすめ!
・衛生管理者免許試験を初めて受ける人
・第一種衛生管理者免許試験と第二種衛生管理者免許試験とどっちを受けるべきか悩まれている人
・衛生管理者に興味のある人
それでは、衛生管理者の第一種と第二種の違いについて詳しく見ていきましょう。
ちなみに、衛生管理者にはこの2つ以外に衛生工学衛生管理者と言うものもありますが、この記事では第一種衛生管理者と第二種衛生管理者についてご説明します。
Contents
免許に関する第一種と第二種の違い
衛生管理者免許には、第一種衛生管理者免許と第二種衛生管理者免許があります。
そして、どちらも試験に合格し、その後免許を申請し取得するものなのですが、第一種と第二種の最も大きな違いは、それぞれの免許の対応する業種の違いにあります。
まず、労働安全衛生法には、一定規模(労働者数)以上の事業場に労働者の健康障害を防止するなど職場での労働衛生全般を管理する者として衛生管理者の設置を定めています。
次に、事業場には様々な業種があり、制度の上では2つに分けられており、それぞれ衛生管理者の職務に就くことができる資格(免許など)が異なります。
具体的には、以下の表の通りで、これが衛生管理者の第一種と第二種の違いの1つ、免許の対応する業種の違いです。
免許の種類 | 業 種 |
---|---|
第一種衛生管理者免許 | 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 |
第一種衛生管理者免許 及び 第二種衛生管理者免許 | 上記以外の業種 (例)情報通信業、金融業、保険業、卸売業などのいわゆる事務仕事が中心の業種 |
言い換えると、第一種衛生管理者免許を持っていれば全ての業種で衛生管理者の職務に就くことができ、一方、第二種衛生管理者免許では衛生管理者の職務に就くことができる業種が限定されるということです。
試験に関する第一種と第二種の違い
試験の範囲(学習の範囲)
試験範囲は、第一種、第二種ともに労働衛生、関係法令、労働生理の3分野で同じです。
ただし、労働衛生と関係法令の分野に関しては第一種衛生管理者の試験範囲には有害業務に係るものを含みますが、第二種衛生管理者には有害業務に係るものを含まないため、この点で違いがあります。
言い換えると、第一種衛生管理者の方が有害業務がプラスされる分、学習する範囲も広く、出題数も増えることが分かります。
試験時間、出題数
試験時間は、第二種、第二種ともに3時間、科目免除者は2時間15分で同じです。
一方出題数は、第一種が全44問、第二種が30問で異なっています。
(参考に、特例第一種衛生管理者の試験時間は2時間で、出題数は20問です。)
ちなみに第一種衛生管理者免許試験の場合、1問あたり約4分の回答時間になりますが、感覚的には3時間の試験時間は比較的に長めで、ゆっくり解答しても十分時間は残るものと思います。
以下は試験の範囲(学習の範囲)と出題数、試験時間をまとめたものです。
科目、範囲 | 出題数(配点) | 試験時間 | ||
---|---|---|---|---|
第一種衛生管理者 免許試験 | 労働衛生 | 有害業務に係るもの | 10問(80点) | 13:30~16:30 (3時間) ※科目免除者は、13:30~15:45 (2時間15分) |
有害業務に係るもの以外 | 7問(70点) | |||
関係法令 | 有害業務に係るもの | 10問(80点) | ||
有害業務に係るもの以外 | 7問(70点) | |||
労働生理 | 10問(100点) | |||
合計 | 44問(400点) |
科目 | 出題数(配点) | 試験時間 | ||
---|---|---|---|---|
第二種衛生管理者 免許試験 | 労働衛生 | 有害業務に係るもの以外 | 10問(100点) | 13:30~16:30 (3時間) ※科目免除者は、13:30~15:45 (2時間15分) |
関係法令 | 有害業務に係るもの以外 | 10問(100点) | ||
労働生理 | 10問(100点) | |||
合計 | 30問(300点) |
労働衛生:衛生管理体制 など
関係法令:労働基準法、労働安全衛生法 など
労働生理:人体組織および人体の機能など
解答方法(出題形式)
解答方法は、第一種、第二種ともに五肢択一のマークシート方式で同じです。
合格基準
合格基準は、第一種衛生管理者免許試験も第二種衛生管理者免許試験もいずれも各科目の正答率が40%以上、かつ全科目の合計得点の正答率が60%以上の2つの条件をクリアすることで基本的には同じです。
ただし異なる点として、科目数が第二種衛生管理者免許試験より第一種衛生管理者免許試験の方が多く、科目毎の合否はその単位で判定されます。
(第一種衛生管理者免許試験の方が科目が多い理由は、労働衛生と関係法令が有害業務に係るものと有害業務業務に係るもの以外に分かれているためです。)
合格率
合格率は、第一種衛生管理者免許試験の方が低く違いがあります。
以下の表は、昨年度、令和5年度(2023年度)の受験者数、合格者数、合格率です。
第一種衛生管理者免許試験の方が約3.6ポイント合格率が低いことが分かります。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 | |
---|---|---|---|
第一種衛生管理者 | 67,572 | 31,108 | 46.0% |
第二種衛生管理者 | 37,061 | 18,374 | 49.6% |
出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会ホームページ(統計)
さらに過去10年間を振り返っても、平成26年度(2014年度)から直近の令和5年度(2023年度)で、いずれの年度でも第一種衛生管理者免許試験の合格率が低いことが分かります。
ただし、その差はまちまちで差が大きい年度の場合13ポイント、小さい年度の場合3.6ポイントと年度によって大きく異なります。
2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
受験者数(人) | 53,111 | 55,129 | 61,500 | 65,821 | 67,080 | 68,498 | 43,157 | 68,210 | 68,066 | 67,572 |
合格者数(人) | 29,922 | 30,587 | 28,003 | 29,636 | 29,631 | 32,026 | 18,916 | 29,113 | 31,207 | 31,108 |
合格率 | 56.3% | 55.5% | 45.5% | 45.0% | 44.2% | 46.8% | 43.8% | 42.7% | 45.8% | 46.0% |
2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
受験者数(人) | 25,069 | 25,716 | 29,186 | 31,537 | 32,985 | 33,559 | 22,220 | 36,057 | 35,199 | 37,061 |
合格者数(人) | 17,365 | 16,983 | 16,189 | 17,302 | 17,271 | 18,511 | 11,729 | 17,922 | 18,089 | 18,374 |
合格率 | 69.3% | 66.0% | 55.5% | 54.9% | 52.4% | 55.2% | 52.8% | 49.7% | 51.4% | 49.6% |
ちなみに第一種、第二種ともに2016年度(平成28年度)を境に受験者数は増加し、反対に合格率は約10ポイント低下しています。
合格率や難易度の詳細についてはこちらの記事を参照ください。
まとめ
今回の記事では、「衛生管理者の第一種と第二種の違い」についてご説明しました。
今回のポイントをまとめると次の通りです。
まとめ |
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✓免許に関する第一種と第二種の違い ・衛生管理者免許には第一種衛生管理者免許と第二種衛生管理者免許があり、その違いは免許の対応する業種の違い |
✓試験に関する第一種と第二種の違い 《試験の範囲(学習の範囲)》 ・試験の範囲は、第一種、第二種ともに労働衛生、関係法令、労働生理の3分野 ・ただし、労働衛生と関係法令の分野に関しては第一種衛生管理者の試験範囲には有害業務に係るものを含むが、第二種衛生管理者には有害業務に係るものを含まない 《試験時間、出題数》 ・試験時間は、第一種、第二種ともに3時間(科目免除者は2時間15分)で同じ ・出題数は、第一種衛生管理者免許試験が全44問、第二種衛生管理者免許試験が全30問で第一種衛生管理者免許試験の方が14問多く出題され異なる 《解答方法(出題形式)》 ・解答方法は、第一種、第二種共に五肢択一のマークシート方式で同じ 《合格基準》 ・合格基準は、第一種衛生管理者免許試験も第二種衛生管理者免許試験もいずれも各科目の正答率が40%以上、かつ全科目の合計得点の正答率が60%以上の2つの条件をクリアすること ただし、第一種衛生管理者免許試験の方が科目数が多く、合否判定はその単位で行われる 《合格率》 ・合格率は第一種衛生管理者免許試験の方が低い ただし、その差はまちまちで年度によって大きく異なる |
皆さん、いかがでしたか?
「衛生管理者の第一種と第二種の違い」について確認いただけましたでしょうか。
今回の記事は、主に衛生管理者免許試験を初めて受ける人や、一種と二種のどちらを受験しようと迷っている人が対象になりますが、最終的にどちらを受けるかは、皆さんが勤務されている会社の業種や試験勉強をする上でどれだけ余裕があるかでしょうか。
中には、「勤務先の業種だと第二種衛生管理者免許で十分だけど、せっかくなので第一種衛生管理者免許試験を受けてみよう!」って人もいるかもしれませんね。
その他の異なる点として、衛生管理者免許を取得するまでに、どのくらいの費用がかかるのかが気になる人もいらっしゃると思いますが、一種と二種では受験や免許の申請などの手続にかかる費用は変わりません。
なお、学習に要する費用は一種の方が多少高くなります。
詳細については、以下の記事を参照ください。
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以上、最後までお読みいただきありがとうございました。