こんにちは、SORAです!
このサイトをご覧になられている皆さんの中には、既に衛生管理者免許を取得された方も、これから衛生管理者免許の取得を目指す方もいらっしゃると思います。
いずれにしても、衛生管理者免許の取得のその先が気になるところだと思いますが、ステップアップする先や次の資格取得には何があるでしょうか?
今回の記事では、次のステップ、次の資格取得を考える上で、衛生管理者と業務的に特に関連性が高い職務と労働衛生の分野で関係性が高い資格者(専門家)の2つの切口からアプローチします。
この記事はこんな人におすすめ!
・衛生管理者の次のステップを知りたい人
・衛生管理者免許に関連する資格を知りたい人
・衛生管理や労務管理に興味のある人
それでは、衛生管理者の次のステップ、次の資格取得について詳しく確認していきましょう。
衛生管理者と業務的に特に関連性が高い職務
まず、衛生管理者と業務的に特に関連性が高い職務として、衛生工学衛生管理者、安全管理者、安全衛生推進者及び衛生推進者を取り上げます。
これらの職務はそれぞれ法令に定められた要件に該当する事業場で選任が求められる者で、主に事業場に属する者が就きます。
うまく言えませんが、衛生工学衛生管理者、安全管理者、安全衛生推進者、衛生推進者は、資格というよりどちらかと言うと専門性の高い職務と言った方が良いかもしれません。
ただ、一方で誰でもなれる訳では無く、それぞれ決まった要件を満たす必要があります。
なお、衛生工学衛生管理者には免許というものがあります。
衛生工学衛生管理者
衛生工学衛生管理者とは
衛生工学衛生管理者とは、3種類ある衛生管理者の一つで常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働などの有害業務に常時30人以上の労働者を従事させる場合に選任が求められます。
職務的には、労働安全衛生法第10条第1項の各号に掲げる事項のうち、衛生工学に関する管理を行い、作業環境測定や作業環境にかかる労働衛生施設関係の設計、施工、点検、改善等を行います。
衛生工学衛生管理者の職務内容
衛生工学衛生管理者の職務は、労働安全衛生法第10条第1項の各号に掲げる事項のうち、衛生工学に関するものの管理とされています。
具体的事項としては、以下が挙げれらます。
職務内容 |
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作業環境の測定およびその評価 |
作業環境内の労働衛生関係施設の設計、施工、点検、改善等 |
作業方法の衛生工学的改善 |
その他職務上の記録の整備等 |
衛生工学衛生管理者の選任要件
衛生工学衛生管理者の選任要件は、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるものにあっては、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任することとされています。
少々分かりにくいと思いますので、「労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号」の具体的内容を含めてまとめると以下のようになります。
衛生工学衛生管理者の選任要件 |
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常時500人を超える労働者を使用する事業場で、以下の業務に常時30人以上の労働者を従事させるものにあっては、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任することとされています。 ・坑内労働 ・多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務 ・ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務 ・土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務 ・異常気圧下における業務 ・鉛、水銀、クロム、砒素(ひそ)、黄りん、弗素(ふっそ)、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務 |
衛生工学衛生管理者になるには
衛生工学衛生管理者になるには、以下いずれかの要件を満たす必要があります。
衛生工学衛生管理者の免許交付要件 |
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学校教育法による大学又は高等専門学校において、工学又は理学に関する課程を修めて卒業した者※で、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習を修了したもの ※大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該課程を修めた者に限る。)若しくはこれと同等以上の学力を有すると認められる者又は当該課程を修めて専門職大学前期課程を修了した者を含む。 |
労働安全衛生法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習を修了したもの |
第一種衛生管理者免許試験に合格した者で、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習を修了したもの |
学校教育法による大学において、保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者※で労働衛生に関する講座又は学科目を修めたもので、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習を修了したもの ※大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該学科を専攻した者に限る。)若しくはこれと同等以上の学力を有すると認められる者又は当該学科を専攻して専門職大学前期課程を修了した者を含む。 |
作業環境測定法第5条に規定する作業環境測定士となる資格を有する者で、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習を修了したもの |
※上記の表は、「労働安全衛生法に基づく免許の交付要件」(東京労働局)(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/ae-menkyo/kouhuyouken.html)を加工して作成しております。
なお、衛生工学衛生管理者講習は中央労働災害防止協会で実施されております。
そして、衛生管理者のうち「第一衛生管理者」については、免許試験に合格しさらに中央労働災害防止協会の実施する講習を修了すれば「衛生工学衛生管理者」の免許の交付を受けることができます。
安全管理者
安全管理者とは
安全管理者とは、以下労働安全衛生法第10条1項各号に掲げる業務※のうち安全に係る技術的事項の管理を行う者をいいます。
※労働安全衛生法第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第1項各号の措置に該当するものを除く。
労働安全衛生法第10条1項各号 | |
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1 | 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。 |
2 | 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。 |
3 | 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。 |
4 | 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。 |
5 | 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの |
安全管理者の職務内容
安全管理者の職務内容は、労働安全衛生規則第6条1項により、「安全管理者は、作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。」とされています。
そして、上記の措置の具体的な内容は以下の通りです。
安全管理者が行うべき安全に関する措置とは、具体的には次のような事項をいいます。
1. 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
2. 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検および整備
3. 作業の安全についての教育および訓練
4. 発生した災害原因の調査および対策の検討
5. 消防および避難の訓練
6. 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
7. 安全に関する資料の作成、収集および重要事項の記録
8. その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置
安全管理者の選任要件
安全管理者は、労働安全衛生法第11条第1項により以下の業種で常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が求められます。
選任を要する業種 |
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林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。 ) 、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 |
また、業種に応じて常時使用する労働者数が一定以上の場合、安全管理者のうち少なくとも1人を専任の安全管理者としなければならないとされています。
業種 | 労働者数 |
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建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業 | 300人 |
無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業 | 500人 |
紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業 | 1,000人 |
上記以外の施行令第2条第1号及び第2号に掲げる業種 | 2,000人 |
安全管理者になるには
次に安全管理者になるためについてですが、資格要件は以下の通りです。
安全管理者選任時研修の修了が必要な(1)~(5)が一般的なパターンになると思われます。
安全管理者として選任できるのは1または2のいずれかに該当する者です。
1.以下の(1)~(5)のいずれかに該当する者で、厚生労働大臣が定める研修(安全管理者選任時研修)を修了したもの
(1)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(2)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(3)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の課程以外の正規の課程を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(4)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の学科以外の正規の学科を修めて卒業した者で、その後6年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(5)7年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(6)その他(職業訓練課程修了者関係)
2.労働安全コンサルタント
安全衛生推進者、衛生推進者
安全衛生推進者、衛生推進者とは
安全衛生推進者及び衛生推進者とは、比較的に規模の小さい事業場で安全衛生水準(衛生推進者の場合、衛生関係)の向上のため選任される者です。
安全管理者及び衛生管理者の選任が義務づけられていない中小規模事業場の安全衛生水準の向上を図るため、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任し、労働者の安全や健康確保などに係わる
業務を担当させなければなりません(安全管理者の選任対象外の業種では安全衛生推進者に代わり衛生推進者を選任し、衛生にかかる業務を担当させます)。引用: 厚生労働省ホームページ(よくある質問>安全衛生に関するQ&A>安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。)
安全衛生推進者、衛生推進者の職務内容
安全衛生推進者及び衛生推進者の職務内容は、総括安全衛生管理者が統括管理をするとされている以下業務の担当になります。
※労働安全衛生法第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第1項各号の措置に該当するものを除く。
※衛生推進者の場合、衛生に係る業務に限る。
労働安全衛生法第10条各号 | |
---|---|
1 | 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。 |
2 | 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。 |
3 | 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。 |
4 | 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。 |
5 | 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの |
安全衛生推進者、衛生推進者の選任要件
安全衛生推進者及び衛生推進者の選任要件は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場で、以下事業場の業種により安全衛生推進者または衛生推進者の選任が求められます。
業種 | |
---|---|
安全衛生推進者 | 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 |
衛生推進者 | 上記安全衛生推進者の選任が求められる業種以外の業種 |
安全衛生推進者、衛生推進者になるには
安全衛生推進者及び衛生推進者になるための資格要件は、労働安全衛生規則第12条の3の規程と告示により以下の通り定められております。
資格要件 | |||
① | 都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者 | ||
② | その他法※第10条第1項各号の業務(衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に限る。)を担当するため必要な能力を有すると認められる者 ※労働安全衛生法 | 1 | 大学又は高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあっては、衛生の実務)に従事した経験を有するもの |
2 | 高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、その後3年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあっては、衛生の実務)に従事した経験を有するもの | ||
3 | 5年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあっては、衛生の実務)に従事した経験を有する者 | ||
4 | 上記1~3に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者 |
労働衛生に関係性が高い資格者(専門家)
先のセクションでは、衛生管理者と業務的に特に関連性が高い資格をご紹介しましたが、次に説明する労働衛生コンサルタントと社会保険労務士は、労働衛生の分野で関係性が高い資格者(専門家)です。
ただ、どちらも衛生管理者と業務的な関連性が無い訳ではなく、同じ労働の分野で各々専門性を持って職務を行う者ですので当然関係はあります。
なお、衛生管理者、安全管理者、安全衛生推進者、衛生推進者は基本事業場に所属する人ですが、労働衛生コンサルタントと社会保険労務士は主に社外の専門家の位置付けになります。(企業に属し、社内で業務を行う社会保険労務士もいますが。)
労働衛生コンサルタント
労働衛生コンサルタントとは
労働衛生コンサルタントとは、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする資格者です。
労働衛生コンサルタントになるには
労働衛生コンサルタントになるには、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が実施する試験に合格し、厚生労働大臣が指定する一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会に登録することでなることができます。
試験情報は、公益財団法人 安全衛生技術試験協会のホームページで確認できます。
社会保険労務士
社会保険労務士とは
労働、社会保険関係(労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険、年金)の専門家で、当該分野の書類の作成や諸手続きの代行、相談、個別労働関係紛争の解決手続(調停やあっせんなど)の代理※などを行う資格者です。
また、社会保険労務士の業務は、社会保険労務士法に定める範囲で独占業務とされています。
※「特定社会保険労務士」のみ行うことができます。
社会保険労務士になるには
社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格し、さらに全国社会保険労務士連合会に備える社会保険労務士名簿に登録する必要があります。
なお、登録には試験の合格と共に、2年以上の一定の実務経験または事務指定講習の終了が必要です。
私の場合、社会保険労務士試験には合格してますが、実務経験がありません。
なので、試験合格直後、事務指定講習を受講しましたがその当時仕事などで忙しく修了することができませんでした。
今更ながら、再度受講をしてみようとも思ってるのですが、そこそこお金も掛かるので非常に悩むところです。
皆さん、いかがでしたか?
今回は、衛生管理者免許の取得の先の次のステップ、次の資格取得として、衛生管理者と業務的に特に関連性が高い職務から、衛生工学衛生管理者、安全管理者、安全衛生推進者及び衛生推進者を、そして、労働衛生の分野で関係性が高い資格者(専門家)から、労働衛生コンサルタントと社会保険労務士をご紹介しました。
皆さんの多くは、主に職場の要請や推奨でとりあえず衛生管理者の免許の取得を検討されているのかもしれません。
それでも、皆さんが試験の学習に時間を費やし、見事試験に合格し、衛生管理者の免許を取得する過程では少なからず労働衛生に関する知識を獲得しているはずです。
正直、今回紹介した資格(どちらかというと衛生工学衛生管理者、安全管理者、安全衛生推進者、衛生推進者の場合、その職務に就くための要件だったりもしますが)の中には、難易度の高いものもあります。
せっかくの労働衛生の分野に触れる機会、経験を活かして、今後の皆さんの社会人としての歩みの先にこれらの資格の取得などステップアップを考えることも1つではないでしょうか。
このサイトでは、資格の情報や試験合格のためのお役立ち情報を発信しています。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。